速度低下を故障と捉えるPMの考え方
- 剛 立川
- 1 日前
- 読了時間: 4分
■機械の速度低下を故障と認識していなかった
私はある工場で生産性向上の指導を行っていました。出来高データを確認すると、あるラインで僅かな未達が長期間続いていました。管理者は部品の摩耗による速度低下が原因で、交換後は問題ないと説明しました。しかし私は、以前から兆候に気づいていたのに対策が遅れた点を指摘し、「古い機械でも速度低下は故障であり、早期に対策すべきだ」と、故障に対する考え方を改めて指導したのです。
■速度低下を故障と捉えるPMの考え方
機械が動いている限り「故障ではない」と判断してしまう管理者が少なくありません。しかし、機械の速度が落ちている状態は、すでに機能が低下している故障の一種であり、放置すれば生産性や品質に影響を及ぼします。そのため管理者には、速度低下などの変化を異常として捉え、機能低下型故障として早期に対策を行う意識を持たせることが大切なのです。
1:2種類の故障を理解する
機械の故障というと、機械が完全に停止してしまった状態だけイメージする人がいますが、これは正しい理解ではありません。PM(Preventive Maintenance)では、故障は大きく2種類に分けて考えます。どちらも放置すれば生産や品質に影響を及ぼすため、正しく理解しておくことが重要です。
■機能停止型故障
これは文字通り、機械が停止して動かなくなってしまう故障です。機械が止まれば誰でも異常だとすぐに分かります。工場のラインで機械が停止すれば生産はできませんから、メンテナンスに連絡して修理を行うなど、直ちに対策が取られるのが一般的です。
■機能低下型故障
部品の摩耗や疲労、劣化などにより機械の機能が低下し、停止はしないものの正常に動作しなくなる故障を指します。速度や精度が落ちることで、規定数量が生産できなかったり、品質不良が発生したりします。この故障は気づきにくく、放置すると症状が進行し、最終的には機械の停止につながることもあります。
2:機能低下型故障を早期に発見する
機能低下型故障は、機械が停止しないため見逃されやすく、放置すると生産性や品質に大きな影響を及ぼします。管理者は早期発見の重要性を理解し、現場とデータの両面から異常を捉えるようにします。
■作業員に異常を早期に発見させる
機能低下型故障は、日常的に機械を扱っている作業員が最初に気づくことが多いものです。出力や速度の低下、異音や振動、動作の不安定さ、加工品質の低下などは代表的な兆候です。作業員がこれらの変化を感じた際、「様子を見る」のではなく、すぐに管理者へ報告するよう教育することが重要です。日々の小さな違和感を見逃さない姿勢を身につけさせることが、重大な故障の未然防止につながります。
■管理者はデータから異常を発見する
管理者は、生産量や稼働状況、品質データを日常的に確認し、わずかな変化も見逃さないようにします。生産数量の低下や不良率の悪化が見られた場合は、単なる作業ミスと決めつけず、機能低下型故障の可能性を疑うことが重要です。そのうえで現場に行き、作業員にインタビューして機械の状態を確認します。現場の気づきとデータ確認を組み合わせることで、早期発見が可能になります。
3:機能低下型故障の再発を防止する
機能低下型故障は修理して終わりではありません。管理者は部品交換で安心するのではなく、原因を明らかにし、同じ故障を繰り返さないための再発防止まで行います。
■原因を究明し再発要因を明確にする
管理者の中には、摩耗した部品を交換すれば対策が完了したと考えてしまう人がいます。しかし本当に重要なのは、なぜその部品が摩耗したのかを突き止めることです。たとえば、異常な負荷や調整不良によって摩耗が進んだのか、あるいは部品の交換時期そのものが適切でなかったのかなど、複数の可能性を考えて原因を究明します。原因を曖昧にしたままでは、同じ機能低下型故障が再発する危険があります。
■PMと点検方法を見直し再発を防ぐ
原因が部品の交換時期にある場合は、PMの交換周期を見直し、部品交換スケジュールを改定します。また、万が一再発した場合でも早期に気づけるよう、機能低下型故障で現れた症状を日常点検表に追記し、管理項目として定着させることが重要です。修理・原因究明・点検強化を一連の対策として行うことで、機能低下型故障の再発防止を行います。
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