生産性向上のための段取り改善手法
- 剛 立川
- 1 日前
- 読了時間: 4分
■段取り改善の基本を理解していなかった
私はある工場で生産性向上の指導を行っていました。あるラインで金型交換の段取りに時間が掛かりすぎ、機械停止時間が長くなり、生産計画が大幅に遅れてしまったのです。現場をよく観察し、作業員と管理者に確認したところ、以下の問題が判明しました。
問題点
1)内部段取りと外部段取りの区別が曖昧で、工具探しや図面確認といった停止前にできる作業まで機械を止めて行っていた。
2)探す・運ぶなどのムダな動作が長年の習慣として定着しており、段取り作業そのものに多くのムダが当たり前のように混在していた。
3)調整作業で毎回試し打ちを繰り返していたが、条件の標準化や位置の見える化が不十分で、特定の熟練者に頼りきりの状態になっていた。
私は管理者に「段取りは作業員に速くやれと言うだけでは不十分である。内部・外部を区別し、ムダを削減し、調整を標準化する仕組みを作らなければ、段取り短縮による生産性向上はできないぞ」と指摘し、段取り時間を大幅に短縮するための下記のポイントを指導したのです。
1:内部段取りと外部段取りを区別する
段取り改善は、内部段取りと外部段取りを区別することから始まります。内部段取りとは機械を停止しなければできない作業、外部段取りとは機械を稼働したまま事前に実施できる作業です。この2つを明確に区別して整理するだけで、ムダな機械停止時間を短縮することができます。
■内部段取りを洗い出す
まず現在の段取り作業を細かく分解し、機械を停止しなければ実施できない作業を明確にします。現場では、本来停止前にできる工具準備や図面確認が、停止後に行われているケースが少なくありません。このような作業の混在が機械停止時間を必要以上に長くする原因となっています。作業を一つひとつ整理し、何が内部段取りなのかを明確にすることが改善の第一歩です。
■外部段取りへ移行する
内部段取りの中で事前に実施できる作業は、積極的に外部段取りへ移行します。例えば、次に使用する金型や工具の準備、図面の確認や材料の手配などを機械停止前に終わらせておけば、停止後すぐに金型交換の作業を行うことができます。こうした事前準備を仕組みとして徹底するだけでも、段取り時間を短縮することが可能です。
2:ムダな作業を削減する
段取り時間が長くなる原因の多くは、付加価値を生まないムダな作業です。そのため改善では、作業を急がせるのではなく、手順そのものを見直してムダをなくすことが重要になります。
■探すムダをなくす
工具や治具を探す時間は作業ではなく、純粋なロスタイムです。工具の定位置管理ができていなかったり、置場が整理されていなかったりすると、段取りのたびに探すことになり、多くの時間を失います。5Sを徹底し、誰でも必要な物をすぐに取り出せる環境を整えることで、探すムダをなくし段取り時間を確実に短縮することができます。
■運搬のムダをなくす
金型や治具を離れた場所から運搬することも大きなロスです。使用頻度の高い金型を機械近くに配置したり、重量物の搬送に専用台車を準備したりすることで、移動時間と作業者の負担を同時に削減できます。運搬ルートを定期的に見直し、不要な移動をなくすことも重要な改善ポイントです。
3:調整作業を短縮する
段取り時間の中でも調整作業は大きな割合を占めています。試し打ちや寸法調整を何度も繰り返している現場では、調整そのものを減らす仕組みづくりに取り組むことが、段取り時間短縮への近道となります。
■条件を標準化する
過去に良品が得られた条件をデータとして記録し、標準条件として管理します。設定値や加工条件、圧力、送り量などを条件表にまとめておくことで、毎回ゼロから調整する必要がなくなります。標準化は調整時間の短縮だけでなく、作業者による品質のバラつきを抑え、安定した生産の維持にもつながります。
■基準位置を見える化する
調整箇所に目印やスケールを設置し、基準位置を誰の目にも分かるように見える化します。熟練者の経験や勘に頼るのではなく、経験の浅い作業者でも同じ位置に正確に設定できる仕組みを整えることが重要です。基準位置が明確になることで調整時間を短縮できるだけでなく、品質のバラつきを防ぎ、安定した生産を行うことができるのです。
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