ヒューマンエラーを防ぐための具体的な方法とは
- 剛 立川
- 2 日前
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■製品混入が発生した
ある工場で製品の仕様が変更になりました。生産計画から「変更前の製品は客先と交渉して処置を決めることになったので、変更後の製品のみを出荷せよ。」との指示が製造に伝達されました。ところが製造では変更前と変更後の製品を混ぜて出荷してしまい、問題になったのです。私は担当者に事情聴取を行ったところ、管理者が班長に口頭で指示を行ったところ、班長が内容を勘違いして、作業員に指示を出したため、混入が発生したことが判明したのです。私は再発防止の対策を管理者に質問したところ、「班長に今後は良く注意しろと言いました。」と答えたので、唖然としてしまいました。このようにヒューマンエラーの対策が「注意する」「頑張る」などの精神論になってしまう管理者がいますが、これでは問題が再発してしまいます。管理者はヒューマンエラーの再発防止を確実に行うために、以下の事柄を正しく理解する必要があります。
1:ヒューマンエラーは精神論では防げない
ヒューマンエラーは、本人の注意力ややる気に依存している限り、必ず発生します。管理者はヒューマンエラーは精神論では防げない理由を正しく理解します。
■人間は必ず忘れる・間違える
心理学やヒューマンファクターの研究では、人間の記憶や集中力には限界があり、誰でも一定の割合で忘れやミスが起こります。これは能力や経験に関係なく避けられない性質です。そのため「忘れないようにする」という努力だけでは不十分です。口頭指示は時間経過や割り込みで抜けやすく、管理者は「人は必ず間違える」という前提で作業プロセスを構築する必要があります。
■精神論の対策は持続しない
精神論による対策は、最初は意識を高め効果があるように見えても、時間が経つと習慣化されず効果が薄れます。例えば朝礼で「間違えないように!」と声をかけても、その時は集中しても、時間が経てば注意の内容を忘れてしまいます。さらに現場のトラブルや気分や体調の変化でも注意力は分散します。この不安定さが精神論の限界であり、持続的な対策には作業環境や手順を物理的に改善する必要があるのです。
2:指示の出し方を改善する
多くのヒューマンエラーは、指示や情報が現場に正しく届かないことで発生します。口頭指示による誤解や聞き漏らし、指示漏れのリスクを防ぐために、情報伝達の方法を改善します。
■書面と標準化で指示を出す
複雑な指示を口頭だけで伝えると、聞き漏らしや受け取り方の違いが起こりやすくなります。これを防ぐには、必ず指示を文書にして、誰が読んでも同じ意味に取れる形にすることが大切です。例えば、作業指示書に必要な条件や手順、注意点をはっきり書きます。また、作業に関する指示は作業標準書を更新し、その内容に基づいて行います。こうした書面化と標準化によって、誤解を減らすことができます。
■復唱による確認を行う
管理者が指示を正しく伝えたかを確認せずに相手が作業を始めると、誤解や聞き間違いがそのままミスにつながります。これを防ぐには、指示後に相手へ復唱させる方法が効果的です。口頭で指示する場合は、受け手に内容をそのまま繰り返させ、その場で正確かどうかを確認します。この確認ですが「わかりました」だけでなく、「これをこの手順で行います」と具体的に返答させることが重要です。
3:指示を仕組みでフォローする
今回のように変更前と変更後の製品が混入しないように、「製品が物理的に混ざらないようにする」「万が一混ざっても発見できるようにする」などの、フォローを行うことが必要です。
■物理的な混入防止を行う
製品の混入を防ぐ最も効果的な方法の一つは、物理的な分離です。変更前と変更後の製品は、保管場所を完全に分け、色つきのラベルや表示で区別を明確にして、同じ棚やパレットに置かないようにします。作業の際も同じラインで行う場合は、変更前の製品を全て撤去してから、変更後の製品を投入するルールを徹底します。また製品を入れる箱
に識別マークを付けることで、作業員が一目で違いを認識できるようにします。
■エラーを発見できるようにする
万が一、製品が混ざった場合でも、出荷前に発見できる仕組みを導入します。例えば、出荷工程に最終確認の検査工程を設け、変更後の製品のみが出荷対象であることをチェックします。この確認のために、検査員が変更前と変更後の製品を確実に見分けられるよう、識別方法を明確にし、現物サンプルも準備します。これらを使って検査員をトレーニングし、混入を必ず発見できる体制を整えます。
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